春、就職、Skyfall

　"技術についてあーだこーだごだく述べるヤツ嫌いなんだよ。インプットがあって、アウトプットがある。その中身なんて作り手の都合であって、そこに一々言及するのって、エンジニアリングとして失敗してんじゃねーの？"

　楽しい面接をした結果、就職しました。思えば奇妙な春であった(奇妙でない春などないのだが)。

　二月：只管に身体を鍛えた。へヴィメタルのCDを買い、レザーパンツを新調し、古着を沢山買った。髪も切った。ギターを弾いた。思えば、この時期は自分が好きだったことを取り戻すためのへんてこりんな戦いの時期だったのだろうと思う。

　三月：前職との戦い、ハローワークとの戦い、生まれて初めての手術。前職での失敗を捉え直さねばならない。本を沢山読んだ。まさかの未払金を払わないとのたまい始めたため、抗争を行った。ハローワークで失業給付なるものを貰うために様々な手続きをした。これも初めてのことだ。そして扁桃腺を切った。

　四月：意識の高まり。へんてこりんなご縁で"うちに来てみない？"と言われ、就職活動を行った。基本的に人に引っ張られてふらふらついて行くことが多かったのだが、複数社様からお声掛け頂いたため、しっかり調査し、心を込めて履歴書や業務経歴書を書き、自分の市場価値をお伝えした。

　そして冒頭のセリフを堂々と言ってのけた紳士に出逢ったというわけだ。畏友にいくら感謝しても足りない。『カジノ・ロワイヤル』でジェイムズ・ボンドが"この仕事を続けていると魂が腐っていく"みたいなことを言うわけだけど、私自身SIerに居て魂も技術も随分腐敗が進んでいた。これから、これからが本番だ。ついでなので『Skyfall』からの引用で幕としたい。

James Bond: Well, everybody needs a hobby.(ああ、いい趣味してんな)
Raoul Silva: So what's yours?(じゃああんたの趣味は何なんだ？)
James Bond: Resurrection.(≪復活≫だ)