Conversation about the kingdom of fire

Ideas NOT worth spreading、お前の悪口、そしてお前の肉親の悪口

Let It Go

 古い話になり恐縮なのだが。各所で指摘されている通り『アナと雪の女王』は「ありのままの姿を見せるのよ、なんて抜かしていると上手くいかない」という映画なのだ。よくも『ありのままで』などと改変したものだ(誤訳ですらない)。私は国外の音楽、とくにHeavy Metalを好んで聴くのだが、その悦びの中には自分なりに和訳してみるという行為も含まれている。そんなわけで怒りの"Let it go"の和訳、参るぞ。

 

今夜の山は雪が白く輝き
足跡すらも見えやしない
孤独の王国 ― わたしはその女王ってわけ

 

この胸の嵐のように風が吠え猛る
わたしの試みは天も思し召すだろう
でももう心の中に留めておけない

 

誰も中に入れるな
誰にも見られるな
期待されているようによい娘となれ
隠し通せ
何も感じるな
誰にも知られるな
ああ、でもみんな知ってしまった!

 

かまなわい、どうだっていい
取り返しがつかないことだから
かまわない、どうだっていい
背を向けて、扉を固く閉ざしてしまおう!
みんなには好きなように言わせておけばいい
嵐よ、吹き荒れよ
どうせわたしは寒さに悩まされたりしないんだ

 

遠目に見れば全てちっぽけに見える
なんて愉快なんだろう
そしてわたしを縛り付けていた恐怖は
もう手出しすらできないんだから!

 

さあ、何が出来るのか試す時が来た
限界に挑戦し、それを乗り越えてやろう
善悪もルールもわたしにはない
わたしは自由だ!

 

かまなわい、どうだっていい!
わたしは風と空と共にある!
かまわない、どうだっていい!
二度と泣き顔が見れると思うな!
わたしはここに居り、ここを総べよう
吹き荒れよ、嵐よ

 

吾が力が天も地も掻き乱す
吾が魂は雪片の中を駆け巡り
思考は氷の炸裂の如く明晰を極める
過去など所詮過去、二度と戻るものか!

 

捨て置け、知ったことか!
吾は曙の炸裂のように燃え立つ!
捨て置け、知ったことか!
お望みの少女など死に絶えた!
吾は陽の元に凛と立つ!
嵐よ、吹き荒れよ!!!
極寒など吾は存ぜぬぞ

 

 老若男女、とくに長男長女が抑圧から解放されるとこのテンションになる。安易なフェミニズムなど出る幕はない。況や、立て籠もる城まであるのだ。天に駆け上る龍のようにテンションがだだ上がりになるのも分かろうというものだ。抑圧と解放、それを止揚したより上位の調和、即ち成熟が『アナと雪の女王』の主題であると私は読んだ。そのため、このような訳にしてみたのだが、いかがだろう。

 

 なお、佳人によるとあれは「女同士の戦いの話」なのだそうだ。なるほど。