Conversation about the kingdom of fire

Ideas NOT worth spreading、お前の悪口、そしてお前の肉親の悪口

炎、ファシリテーション、即ちZEN 上

 『プロフェッショナル・ファシリテーター』(原題:『Standing in the fire』)の要約を試みようと思う。ユダヤ的知性に裏打ちされているからか議論は螺旋を描いて深化していく。要するに正確な要約など端から無理である。ここでは先に挙げた6つのガイドラインを深掘りする。なお、ツール群に関しては『ファシリテーターの道具箱』等で仕入れるとよい。

 

 おさらいする。『Standing in the fire』では内外の葛藤を"炎"と読んでいる。そしてその葛藤に絡め取られることを"炎に焼き尽くされる"と表現している。"炎"は破壊的な側面と創造的な側面があり、"炎"を適切に誠実に御することにより"炎"の創造的な側面を促進させることが可能となり、ファシリテーターとはそのような存在であるべきだと説く。

 

自分の状態変化に敏感になる

 自分の状態変化に敏感になるとは

 等身大の鏡の前に立ち、そこに映る全体像を見ている自分を想像してみて欲しい。見ている自分と、見られている自分。二人のあなたがそこにいる。見ている自分の目的は、見られている自分を観察し、自分の状態変化への感度を高めることだ。
 自分の状態や変化を意識の中にとらえておかないと、見たこと、感じたこと、考えたことの全てを「真実」だと思いこんでしまい、偏った判断をすることになる。
 感情スイッチが入ると、手詰まり感を覚えたり、フィードバックを聞きたくないと思いはじめる。無用に判断を急いだり、生理的に違和感を感じる。
 pp.60-61

 

 自分の状態変化に敏感になるために必要なこと

  • 自己観察力:意識化された思考、意識下の思考、感情スイッチ、気分、好き嫌いから距離を取り、俯瞰すること
  • 全身センシング:感情スイッチが入った時は、身体が最初に反応する。身体の反応に敏感になること
  • リフレクティブ・プロセッシング:信念や思い込み、感情を俎上に上げ、検証すること

 自分の変化に気づくようになると何が変わるのか

  • 「つながり(絆)」を生み出す:自分の中の多面的な側面への理解が深まり、影とのつきあい方もうまくなる
  • リソースフル:客観的に物事を捉えることにより、引出を総動員出来るようになる
  • 中立性を保つ:中立性を欠いた瞬間、自己正当化に走るのでよくない。入観せよ

 

「いま、ここ」に集中する
 「いま、ここ」に集中するとは

 「いま、ここ」に集中するとは、覚醒した意識とリラックスした心身が共存している状態である。視界が広がり、目の前で刻々と起こっている出来事をしっかりととらえることができる。時間の流れはゆるやかになり「いま、ここ」だけが存在する状態だ。
 太極拳では最初に「無極」と呼ばれるポーズを習う。太極拳の指導者で禅僧でもあるリンダ・ミョーキ・レーハウプトの著作T'ai Chi as a Pathe of Wisdomによると、無極とは「あらゆる可能性の母」を意味する。
 pp.81-82

 

 「いま、ここ」に集中するために必要なこと

  • 注意力:自分の内外で起こっている変化に同時に気づくこと。「自分の思考や感情は、自分自身とは別のもの」と悟ること
  • 静観力:恐れや後悔、悪い予想に抵抗すること。「あなたは誰かの誕生の手助けをしている」

 「いま、ここ」に集中すると何が変わるのか

  • 穏やかでいること:「何をするのか」「何をしないのか」という選択肢のみの状態となり、緊張や怒りが解ける
  • 広い視野、研ぎ澄まされた感性:いろいろな熱源を感じ、炎のすべての色や重なりが見え、幅広い選択肢を持てる

 

オープンマインドを保つ
 「オープンマインドを保つ」とは

 「高度な自己マスタリーに達した人は、自分の無知を、能力不足を、成長させるべき領域を痛感しているものだ。同時に十分に自信もある。矛盾しているだろうか。『旅の報いは旅そのもの』と思えない人にとっては矛盾に聞こえるだろう」
 (中略)激しい炎の中でもオープンマインドを保つには矛盾を内包する空間を作る必要がある。つまり、不愉快で不確実な状態でも冷静でいるすべを学ばなければならない。教育者のパーカー・パーマーはこれを論文"The Broken-Open Heart"の中で、「対立の緊張を辛抱強く抱く」と表現している。彼によれば緊張状態に忍耐強く向き合う姿勢を学ぶことで、それまでになかった新しいひらめきや行動への道が開ける。この忍耐力は炎の達人であるプロフェッショナルには欠かせない。
 p.101

 

 オープンマインドを保つために必要なこと

  • 謙虚な態度:「自分が見ていること、知っていることは全体の一部に過ぎない」という信念を態度に表わすこと
  • 判断を保留する:意識的に判断(レッテル貼り、安易な否定、都合のよい解釈等)を保留する
  • 好奇心を持つ:無知には価値があると考えること。全ての正解が存在し、未来は予測出来るとは臆見に過ぎない
  • 諦めない心:「可能性の僕」として、逆境の中においても希望と可能性を持ち続けること

 オープンマインドになると何が変わるのか

  • 創造性:無知を自覚すると素直な気持ちで参加者のアイディアに耳を傾けることが出来るようになる
  • 安心・安全な場をつくる:オープンな態度・存在感は少数派の意見や考えも公平に扱われるというメッセージになる
  • 学び:謙虚な態度、判断保留、好奇心、諦めない心は日常をDojoにする。

 今日はここまで。どうだい? ZENが溜まってきただろう?