Mad Marketing Massacre Vol.2
TA(Teaching Assistant)として行いたいのはスクラムマスター的な立ち回り、すなわちコーチングと奉仕、ファシリテーションなのだが、ファシリテーションがよく分からない。どうせそんなに複雑なツールじゃないだろうと舐めて掛かったら痛い目にあった。『プロフェッショナル・ファシリテーター』という本で躓いた。
内容が難しいわけではない。平易な文章で書かれており、内容も非常に面白い。原題は『Standing in the fire』というらしい。原題のほうがずっとかっこいい。原題通り、炎が主な議論の対象となっている。議論の破壊的な側面や創造的な側面をこの本では炎と呼んでいる。ファシリテーションというとテレビでの司会者のようなものを想像していたのだが、実際のところ読んでみると紛争調停まで行っており、いきなり頬を張り飛ばされた形だ。幾つかの箇所を引用する。
刹那的な強い思いや衝動が起こる理由は、過去にアイデンティティが、未来に救いの可能性があると思い込んでいるからだが、過去も未来もイメージであって現実ではない
p.84
原書のタイトルについて少し解説しておこう。まず"stand"であるが、この簡単な英単語には意外と多くの意味がある。例えば"My decision stands."と言えば「決定は妥当だ」という意味になる。"I can't stand it."なら「我慢する」ということだし、"stand up"ならご存じのように「立ち上がる」という意味になる。"our stand"は、態度や見解を意味する。本書の原題「炎の中に立つ」には、そうしたstandのすべての意味が込められている、と著者は言う
p.279
前者の引用に関してまさにある賢人が言っていたではないか。あのキメ台詞だ。"未来とは他者である"。後者の引用を見てみよう。この圧縮の方法はあの賢人の<顔>の概念と似てはいないだろうか。さらに言えば著者はユダヤ教徒である。そう、全てがレヴィナスおじさんに通じている。そこで、ひょっとしたら今一度<他者性>というものに立ち戻らねばならないのではないか、と足が止まったのだ。
不思議だ。レヴィナスおじさんに呼ばれているのか、それとも当人がまさに喝破していたように"思想とは全てを、現在過去未来全てを思考し尽してあるものでなければならない"ということなのか。分からない。分からない分からないと言っているのも、馬鹿みたいだ(馬鹿だが)。詳細は次回に譲るとして、今回はガイドラインとして挙げてあるものを以下に列挙するにとどめる。これらのガイドラインはボロメオの輪のように互いに結びついている。今度はラカンかよ。
- 自分の状態変化に敏感になる
- 「いま、ここ」に集中する
- オープンマインドを保つ
- 自分の役割を明確に意識する
- 意外性を楽しむ
- 共感力を養う