Conversation about the kingdom of fire

Ideas NOT worth spreading、お前の悪口、そしてお前の肉親の悪口

TED、地獄、マネジメント

 TEDを観た。例の喋るホワイトトラッシュみたいな熊のぬいぐるみと、やたら物語を妨害してくるフラッシュ・ゴードンのアレじゃなくて、名プレゼン集の方だ。ベンジャミン・ザンダーを推薦されたのでそれを選んだ。なお前者の『TED』に"デブが走る音がする。想像するだけで笑えてくる"という5営業日ぐらいは笑顔で居られるような悪口が出て来る。私もそんな知性欲しい。

 

 http://www.ted.com/talks/benjamin_zander_on_music_and_passion?language=ja

 

 地獄のプロジェクトの話をしたい。どう考えても数字(工数 / 工期)が合わない旨指摘し、増員かリスケジュールをプロジェクトマネージャーに直談判しに言った際のソリューション:「それがどうした? 慰めて欲しいのか?」。処理がおかしな動きをする旨お客様に指摘された際のソリューション:「(ベンダーに向かって)お前ら自殺しろ」。午前4時まで続く怒鳴り声。あるチームの遅延がスケジュール全体の遅延と見做されるため、各チーム虚偽の進捗報告を2時間行い、その間も怒号が飛び交う。

 

 何かの拍子で飲みに連れて行かれた際に言われた言葉が「(自分の部下を指しながら)こいつらは、本当はお前たちが目にすることも叶わない天上人だ」であった。私はその場で最初からひつまぶしを注文してやったし、大量の肉を注文して連中の血をドロドロにしてやった。もっとも、ほとんど私が食べたのだが。

 

 そういうことしているから死傷者が10名を超える、などということになる。

 

 言うも憚られるが、この時点で私は私のミッションを"システムの完成"などではなく"メンバーの生存"へと密かに切り替えさせて貰った。優秀なメンバーが自殺でもしようものなら、それこそ事業の存続が困難になるからだ。本社に散々プロジェクト撤退を要請していたのだが、ある時、事業部長に「お前、メンバーの顔見てるか?」と言われ、背筋が凍り付いた。"メンバーの生存"を掲げておきながら、なんという怠慢。ただキツそうという表面的な情報しか受信出来ていなかった。

 

 まず全員と面談した。朦朧としている者、飄々としている者、ストレスを感じているがまだガッツはある者……次にそれぞれについて対処した。例えばシナジー効果を期待して後輩に先輩を貼り付けた(前者はスキルを獲得し、後者は自らの価値を思い出す)。"お客様に頑張ってる姿を見せる"(サタンよ、去れ!)と週7日間勤務を命じられた時は一日徹夜して必ず休日を取らせた。

 

 それでもメンバーで入ってくれていた私の先輩が心を悪くし、退社した。痛恨の極みだ。然るに当先輩は今は元気にスウィーツ系男子とかしているらしい。何だよ、それ。……そういうことをザンダーのプレゼンを観て思い出した。そして慰められた。次はもっと上手くやる。きっともっと上手くやれるだろう。