Conversation about the kingdom of fire

Ideas NOT worth spreading、お前の悪口、そしてお前の肉親の悪口

手術、術後、或いは愛と正義についての最終定理

 手術当日5時間前から食べるの禁止、2時間前から飲むの禁止。斎藤茂吉憎しで生きてきた身としてもさすがに「おんじき……」とアララギ派のような詠嘆がある。これから一生涯残る傷をつけに行くのだと考えると、早まったか、と臆する気持ちもある。

 

 が。実際のところ毎度の如く道に迷う以外の逡巡はなく、手術へ向かうのだ。その医院は銀座に店舗を構えており、その大通りの絢爛たるや。その店頭に並ぶバッグは中古のMotley Crueのアルバム何枚分の値段なのか。打鍵したことのないキーが多過ぎるし、そもそもキーの全容すら把握出来ない。

 

 手術を待機するセクションに通され、麻酔として口に小児用風邪薬みたいな甘い味のゲル状の何かを投入され、そのまま30分待て、と言われる。頃悪く私が鼻を詰まらせていた場合、麻酔で溺死することになったのではないかと思うと、案外死は身近にある。

 

 また、医者の言い付けを守らず術後に激しくロックンロールした場合、傷口が開いてこれまた失血死の可能性が高いそうだ。知人は友人宅でそれを行い、そこらじゅう血の海にしたがまだ生きているらしい。人間は期待するよりは脆く、思ったよりは頑丈なものだ。

 

 手術は麻酔の注射がチクっとした、肉をレーザーで焼く感覚が生々しくてなんか厭、お医者様が「いらない器官なんだよね、扁桃腺って。そろそろなくなるんじゃないかな。あと100万年くらいすれば」という独り言に当惑したくらいで10分程で終了。

 

 術後、咳をしたら喉の奥から鮮血。傷口が開いたらそもそも延々血が流れ続けるらしいので、これは問題ないらしい。術後の痛みは扁桃炎の10倍程度か。寝起き、食事の時に強く痛むので生活自体が朦朧とする。しかし、それにしてもつくづく無意識的に食べ物を咀嚼、嚥下出来ていた頃を思うと人間の身体って変に精密に動くな、と思う。

 

 愛と正義については『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ~叛逆の物語~』を見ろ。