Vote with a Bullet

　私なりの選挙の愉悦を記する。何と言っても選挙公報だ。複数人でキャッキャ言いながらやるとより楽しい。

　まずは減点方式で行く。突出した泡沫候補を探して消す。善悪の彼岸にいるような、殆ど狂気の沙汰のような候補が一人か二人はいるはずだ。例えば手書きで書き殴った、彼/彼女なりの、恐らく誰にも伝わらない、理解も共感も超えた熱い想いを味わう。剥き出しの＜人間＞がそこに在る。

　それからこども、戦争、原発問題を安易に取り上げている候補を消す。例えばこどもを是非とも積極的に虐待しようという政策に賛成する者はいないし、戦争や原発も然りだ。これは何も言っていない、考えていないに等しいと私は考える。逆に言うと、こどもの虐待を止めようという政策に反対する者は虐待に加担する者である、というロジックで倫理的に脅迫する者を私は忌む。「馬鹿かこいつは」、「悪人顔だなあ」などとキャッキャしよう。

　残念なことに、ここまでで投票すべき候補者は激減する。ここからは加点方式で候補者を見て行く。ディテイルがしっかりしておられる方、自分の言葉できちんと想いを伝えようとしておられる方がいたらチェックをつける。先述のこどもや戦争や原発に関しても真摯に取り組んでおられる方はディテイルや言葉に揺らぎがない。この中から投票したい候補者を選ぶとよい。「商店街活性化ってすてき！」とか「この人こどもの事本当によく考えてるな」なんて話しながら読むと楽しい。

　そして投票だ。今回は期日前投票を行ってみた。ここで見るべきはやはり投票者だ。私だったら、主にモヒカンや鋲、レザーのライダースジャケット、或いはバンドTシャツの若者を探す。彼ら/彼女らはPunks(パンクに入れ込んでいる者のこと)であったりMetal Headz(Heavy Metalに入れ込んでいる者のこと)であったりする。

　ご老人やお子様連れの奥様やお仕事帰りの水商売のお姉さんの中に在る彼ら/彼女らを視よ。その瞳を視よ。生態系の豊潤な様を視よ。田村ゆかりに感謝しろ。

　なお、私はPatti SmithのTシャツで投票に臨んだ。楽しかったよ。